MIKIMOTO

People and Pearls 写真家・下村一喜が語る。
「今、パールが人々を魅了する理由」

Interview with Kazuyoshi Shimomura

  • ネックレス ¥3,300,000/MIKIMOTO COMME des GARÇONS (ミキモト コム デ ギャルソン) ※税込価格

  • 「セッティングの精巧さはミキモトならでは。奥行きあるドラマティックな美しさにハッとしました」と下村さん。

  • 今も家族が大切にしているパールネックレスを、下村さん自らが撮影。

“内面の豊かな美しさを
呼び覚まして
くれるのが、
パールという宝石です。

「美しい女優たちをより輝かせる写真家」として名高いフォトグラファー、下村一喜。パールがなぜ、今、人々をこんなにも魅了するのか……その意味を、ファッションとポートレートの名手である彼が独自の視点から語った。

ネックレス ¥3,300,000/MIKIMOTO COMME des GARÇONS (ミキモト コム デ ギャルソン) ※税込価格

パールは、纏う人を輝かせてくれる。

今回、私は千葉雄大さん、冨永愛さんのポートレートを撮影させていただきました。そこで繰り広げられた、パールをテーマにしたスタイリングはまさに圧巻の一言。私自身、これまでパールをスタイリングした撮影をする際には、無意識のうちにモデルとなる方に「清楚な佇まい」「優美な微笑み」を求めてきたように思いますが、今回は全く別のアプローチで撮影を行いました。

その人の素顔が見えるような、ちょっとカジュアルでエフォートレスな雰囲気と、その人らしい飾らない表情……パールは、コミカルな表情や仕草にも、寄り添ってくれるジュエリーです。被写体がどんなポーズをしても、パールがそのポーズを自然に美しく見せてくれることをあらためて知りました。それは、パールが纏う人を輝かせ、その人の個性を高めてくれるジュエリーだから。いっぽうで、パールには、その人ならではの美しさを高めるだけでなく、纏う人を「変身」させる力もあるのではないかと感じています。

心地よさ、そして有機的な美しさ。

パールはほかの宝石と違い、海から上がった時点でほぼ「完成」されているジュエリーです。ダイアモンドなどのように原石をカットするのではなく、パールの形は生まれたそのままの姿。だからなのでしょうか、パールにはとても有機的な魅力があり、どこかほかの宝石とは違う特別なものだと思わせてくれるパワーがあります。今は、サステナブルなものづくりや、エシカルな消費に対しての意識がとても高まっている時代。そういった時代を反映するかのように、ファッションでもボタニカル柄やアースカラーがトレンドとなりました。そんな中で、パールというオーガニックなジュエリーが注目を集めているのはきっと必然。身につけている心地よさはもちろん、自分の内面に向き合わせてくれるようなパールの特別な力が今、人々に求められているのだと思います。

パールをスタイリングしたアイコニックなアートといえば、ヒッチコックの名画『裏窓』が印象的。グレース・ケリー演じる主人公は、映画の全編にわたって常にパールを纏っています。一連のスタンダードネックレス、三連のネックレス、大粒のパールのブレスレット……そして、映画の謎解きのヒントを与えてくれるのもまたパールなのです。グレース・ケリー自身もまた、パールのような魅力を持った女性ですね。モナコ公室に嫁いでからも常に彼女の首もとにはパールのネックレスがありました。そのパールのつけこなしは、華やかでありながら清楚。そしてミステリアスさもある彼女の魅力にベストマッチしていました。

「セッティングの精巧さはミキモトならでは。奥行きあるドラマティックな美しさにハッとしました」と下村さん。

アーティスティックな造形美。

ミキモトのジュエリーは、アートでもあります。私が特に感銘を受けたのは、2013年の「DREAMS & PEARLS」という特別なピース。アコヤ真珠や黒蝶真珠以外に天然メロ真珠やコンクパール、そしてカラーストーンをあしらった立体感あるジュエリーには一瞬にして目を奪われました。ストーンセッティングの技術もさることながら、その造形の美しさは芸術品のよう。ミキモトのクリエイティビティとクラフツマンシップの底力を感じました。

それはまさに、自らの富や権力を誇示するための宝飾品ではなく、その美しさや自然界からの恵みを慈しみ、その美しさに自分を共鳴させるように纏うべきジュエリー……そう、パールの魅力もまた、そこにあるのではないでしょうか。見た目のきらびやかさだけではなく、内面の豊かな美しさを呼び覚ましてくれるのがパールという宝石です。昨年から、私たちは自分と向き合い、人の美しさや強さは自らの内面を反映しているものだということを知りました。そんなときだからこそ、人の内面の美しさを引き出し、高めてくれる力を持ったミキモトのパールが人々を魅了してやまないのだと思います。

パールは家族に受け継がれる宝物。

ミキモトは、私の家族にとっても特別なブランドです。特に印象的なのは、祖母が所有していたネックレス。とてもおしゃれで、ファッションやジュエリーを愛していた彼女が特に大切にしていたのがミキモトのパールネックレスだったのです。

祖母は晩年、寝たきりの生活となった後も、常にメイクアップを楽しみ、ジュエリーを纏って過ごしていました。私はその姿から、ジュエリーが持つパワーを学び、そこからパワーを得て生きている彼女を誇りに思っておりました。その後、このパールネックレスは母が譲り受け、ミキモトのブティックでメンテナンスをお願いした際、ネックレスもさることながら、ケースもとても貴重なものであることを教えていただいたそうです。

後からよくよく調べてみると、このケースは1954年にマリリン・モンローが新婚旅行で日本を訪れた際に購入したミキモトのネックレスをおさめたジュエリーケースと同じ形のもの。当時はハリウッドのセレブリティや国賓たちが、こぞってミキモトのパールを求めた時代です。その当時ならではの華やかさと気品に満ちあふれたケースは、パールネックレスとともに私たちの大切な宝物となりました。

今も家族が大切にしているパールネックレスを、下村さん自らが撮影。

Photos by

下村一喜Kazuyoshi Shimomura

多摩美術大学在学中、21歳より活動を開始。2001年、渡仏し半年後にフランス「madame FIGARO」誌と契約。在仏7年の間、ヨーロッパで活躍。2007年、帰国後国内外の広告・雑誌などのスチール撮影からCM・MVなどの映像ディレクションまで幅広くてがける。各界のセレブリティからの信頼も厚い。著書に『美女の正体』『ウーマン』(集英社)。